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○中山会長 島並教授にお伺いしたいんですけれども、ご趣旨は個別条項をフェアユースの一般規定でオーバーライド、あるいは広げてはいけないというご趣旨だったわけですけれども、その理由がよくわからないんですけれども。例えば既存のものでも図書館に●が載っていますけれども、既存の図書館はアレクサンドリア以来ずっと変わっていなかったけれども、デジタル化で極めて大きな変化をしているわけですね。想像もつかなかったようなことがいっぱい起きていると。あるいは障害者関係も、障害者が著作物を利用するのに利便性のいい機器等がどんどんできている、従来考えられなかった状況が出現しております。そういうものは一々個別で立法せよというお話になるわけです。そうすると、フェアユースで救ってはいけない理由はどこにあるんでしょう。

○島並参考人 それは、ひとくちに一般規定と言っても、その要件の在り方は権利制限事項によって様々であり得るからです。多様な権利制限事項を一気通貫した一般規定は、さすがにきめが粗すぎるのではないかということです。レジュメ3ページの最後に書いております消極説の論拠に応接するためには、できるだけ不特定性・不安定性を除去すべきなのではないか、そしてまたそのような対応が可能であれば、逆にそれを避ける理由もないだろうと考えます。たとえば図書館でもし新たな著作物の利用態様がどんどん広がり、それらを適法と扱って欲しいということであれば、既存の31条の規定の中に一般的な要件を入れるということは可能であるし、またそれが将来的な図書館ならではの事案解決ルールの構築に役立つのではないかということです。

○中山会長 そうなると恐らくデジタル化時代においては、制限規定の多くは一般規定化されなければならなくなるように思えますが。

○島並参考人 特定の規定に落とし込めるものは、どんどんそれを実行していくと。

○中山会長 そういう趣旨ですか。

○島並参考人 はい。ただしそうだとしても、中山先生がよくフェアユース導入の理由として出されておられますような、ベンチャーによるこれまで考えもつかなかった著作物の利用について、(規範内容の問題として)政策的に救わなくちゃいけないということであれば、それを救うための大一般条項は必要だろうと思います。個別的な小一般規定では救えないのですから。

○中山会長 ただ、図書館でデジタルを使った新しい利用の仕方、あるいは障害者にデジタルを使った新しい著作物の利用の仕方とベンチャーでの利用の仕方というのはそんなに区別がつきますか。

○島並参考人 実質的に違わない、と。

○中山会長 つまりベンチャーが障害者のために何か新しいデジタル機器を作るとか、いろいろなことがあり得るわけで、現実的には分けられないのではないか、あるいはなぜオーバーライドしてはいけないのかと。オーバーライドというと言葉は悪いですけれども、なぜ既存のものに少しでもフェアユースで付け加えてはいけないのかということなんですけれども。

○島並参考人 それをなぜ大一般条項で救ってはいけないのか、ということですね。

○中山会長 アメリカなどはまさにそうですよね。個別規定はあるけれども、フェアユースはそれにこだわらない。

○島並参考人 そこは米国法について運用も含めた詳細を見てみないとわからないんですけれども、米国法には非常に細かい個別規定がございますね。例えば、著作物が放送される店舗の面積にまで言及して権利制限の有無が規定されている場合に、その要件に合致しないものを本当にフェアユース規定で救い得るのか、そこまで細かい政策決定をしているのに改めて裁判官がなお権利を制限して利用を救うということが本当にあり得るのかというのは、少し私には疑問があります。それが1点。
 もう一つは、ベルヌ条約への適合性をどこかで説明しなくてはいけない。この点については余り気にしなくて良いという先生のお考えを別途伺っているところですけれども、少なくとも対外的にはきちっと説明できるという状況をつくらなくてはいけないと思います。だとすると、ベルヌ条約上の「特別な場合」という制約については、既にかなりたくさんの特定的な権利制限規定がある状況下で、その残りのわずかな部分について、首の皮一枚フェアユース規定に入れるんですよ、という説明で何とか凌ぐしかない。既存の規定事項についてもどんどん権利制限ありうべしということであれば、なかなかこの条約適合性をうまく説明することは難しいのかなと。

○中山会長 でも、沈没する時はアメリカと一緒ですから、そんなに問題ないように思うんですけれども。

○島並参考人 身もふたもないことを言ってしまえば、それはおっしゃるとおりですが・・・。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/digital/dai6/6gijiroku.html

ここのやりとりは生で見てても面白かった。ホント、攻めに回ったときの中山先生の切れ味は凄い。それに、傍聴していた方からすれば、痒いところに手が届く補足質問だと思われ。

中山先生の、フェアユース導入への粘りとも取れなくもない。そんな気はした。

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