Untitled #9RSSarchive

○北山委員 島並先生にちょっとお聞きしたいんですが、従来皆さんが質問されている事項とちょっと重複するんですけれども、先生の説明では一応クエスチョンマークがついているんですが、理解としてはこういうことでいいでしょうか。先生のお考えでは、権利制限規定で個別規定が現存のままでいいもの、それから現存のものをさらに抽象化しなきゃいけないもの、それから大一般規定と、この三段構えでいくんだということでよろしゅうございましょうか。もしそういうことだとすると、個別規定と小さな一般規定の二段構えでいくのに比して、その三段構えのほうがよりメリットがあるというところはどこにあるのかということだけ教えていただきたいんです。

○島並参考人 先ほどの中山先生のご質問と同じ観点ですね。
 それは一般規定の定め方にも様々なものがあり得るので、そうだとすると適用射程は限定した上で一般化した方が、少しでも安定的な運用が可能になるという程度の理由でございます。すべてを大一般条項に投げてしまうことについては懸念も実際に示されている以上、大一般条項を置くとしてもその適用射程はなるべく狭めたほうが、より多くの人が納得するのではないかということであります。

○北山委員 すべてを一般規定に投げてしまうおそれがあるというところは、私も結論においては考えは同じなんです。
 と言いますのは、一般規定を置いた場合には個別的な権利制限規定をめぐる紛争から、一般規定をめぐる紛争になっちゃう可能性があると思うんです。現に現在の離婚訴訟を見ると、770条で不貞行為とか具体的な規定があって、最後に「その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」というのがあるんですけれども、そのときにただ不貞な行為だけでやればいけるのに、実際の訴訟は婚姻を継続しがたい重大な事由で、何でもいろいろいっぱい主張してくるわけです。だから、審理が非常に冗漫になっちゃう、散漫になっちゃう傾向があるんですね。
 そういうことから見て、その一般規定を置いた場合に、フェアユース規定を置いた場合に、そういう方向に流れてしまう危険性は僕はあると思うんですね。前から僕はそれを言っているんですけれども、それは注意しなきゃいけないというふうに僕は思っているんですが、先生の今のお考えで一番わからないのは、権利制限規定の今ある中で、例えば公正な慣行とか正当な範囲とかという抽象度のある程度高い規定も現にあることは私もそのとおりだと思うんですが、そういう規定をさらに一般抽象化して、小さな一般規定にしなきゃいけないんだというところが僕はよくわからない。

○島並参考人 例えば、今の引用について述べれば、すでに様々な要件が規定されています。報道目的等に照らして、などですね。それによって一定の外延が画されているものについて、その中でさらに一般規定化して少し柔軟性を高めるというのと、全くオープンなフェアユース規定を置いて全てそちらで処理するというのでは、相当程度、変わってくるだろう。引用については、事案ごとのバリエーションが大きいので、一般規定による柔軟な解決が望ましいとしても、それには限度があり、「この要件の下だけですよ」とか「こういう要素・観点を考慮するのですよ」ということを予め明示してあげることには、それなりの意義があるのではないかという考えであります。またそのような要件や考慮要素が、他の権利制限事項にはあてはまらない、引用に固有の問題だとするならば、適用射程に限定のない大一般規定にそれを規定するのではなく、やはり32条の適法引用規定を改定することで対応すべきだと思われます。

○北山委員 どうもありがとうございました。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/digital/dai6/6gijiroku.html

link